もくじ
30歳にして隠居生活を送っている仙人のような人間のもとには、時に迷える若人から不思議な便りが届きます。
先日は若干20歳の将来有望な大学生から以下のようなお問い合わせがありました。
要旨としては以下の通りです。
貴方のような生き方も悪くないだろう。
まずもって、大学の勉強は面白くない。
かといって、就職したいわけでもない。
熟考の末、とある明快な結論に至った。
中退も視野に入れ、起業して稼ごうと。
若いうちにまとまった金を得るために。
そういうわけで、ひとつよろしく頼む。
残念ながら他人の人生相談に乗れるほど聡明ではありませんが、20歳は立派な大人ですし、どうか頑張って下さい。
少し前に「新卒フリーランス」的な生き方がブロガー界隈で話題になりましたが、若いって素晴らしいことですよね。
さて、彼とのやり取りを通して面白かったのは、労働市場をまるで「地獄のような世界」であると捉えていたことです。
ある意味そうなのかもしれませんから、それを回避するための努力なら惜しまないとしても、労働市場にあるセーフティネット的な機能を過小評価してはいけないと思っています。
労働市場=労働力を商品として、需要と供給をめぐる取引がおこなわれる市場のこと。
労働市場=セーフティネット
私もサラリーマンは酷く下賎だと思っていますし、確率上、ほとんどの人は起業しないと豊かな人生を送れないのも事実です。
但し、同じく確率上、ほとんどの人は起業しても失敗するわけですから、自分だけは特別だと信じるのは少々傲慢であり、そういったリスクをヘッジしてくれる労働市場を無視してもいけません。
労働市場と積極的に関わりたいわけではないのですが、労働市場をセーフティネットとして(必要な時だけ)利用するという考え方です。
少なくとも、毎月数万円の生活保護などよりは遥かに魅力的なオプションではないでしょうか。
そして、労働市場を最大限に活用するために必要なのが学歴や職歴です。
学歴や職歴は最強のリスクヘッジ
学歴や職歴は最強のリスクヘッジであり、不確実な時代であればあるほど価値が出てくると思います。
「東大の文一を卒業してます」とか「ゴールドマンサックスでトレーダーをやってました」とか言われると、知りませんけど、なんか凄そうに聞こえますよね。
過去に東大やゴールドマンサックスにいた人間達には、信頼できそうな第三者がつくったらしい選抜試験を勝ち抜いたというトラックレコード的な何かがあるからです。
もちろん、実際の勉強ぶりや仕事ぶりが傾向として凄かったからでもあるでしょう。
上記は極端過ぎるとしても、コツコツと積み上げた社会からの評価は労働市場における無形資産だと思います。
加齢によって選択肢こそ減るでしょうが、周囲を見渡してみると日本社会は立派な経歴(=過去の実績)のある人間に対しては物凄く寛容です。
運悪く起業が失敗してしまっても、過去の実績さえあれば20代や30代のうちは再就職なんて屁の河童でしょう。
少なくとも、「大学も卒業してないし、就職もしたことがない」20代や30代とは選択肢の量、そして条件の良し悪しに圧倒的な差が生まれます。
ドラゴン桜という漫画の中で「バカとブスこそ東大へ行け」という名言がありましたが、これは言い得て妙だなと思いました。
実際には凄くない人でも経歴さえピカピカなら相応の下駄を履かせてもらえるわけですから、凄くない人であれば凄くない人ほどこれを利用しない手(足?)はありません。
例外について
これだけでは流石に身も蓋もないので、例外についても考えてみました。
逆に、以下の場合を除けば、ちゃんと大学は卒業した方がいいし、とりあえず大企業に就職した方がいいというポジションです。
- 周囲と比較して抜群に優秀な場合
- 周囲と比較して抜群に劣等な場合
- やりたいことが決まっている場合
どれも普通ではありません。
私自身はどれにも当てはまらなかったので、普通に大学を卒業して、普通に大企業に就職して、普通に副業して、ふとセミリタイアしました。
セミリタイアと言っても資金的に余裕があるわけではありませんので、今後また労働市場に身を投じる可能性もあるわけです。
1.周囲と比較して抜群に優秀な場合
もう、滅茶苦茶やった方がいいですよ。
みんな大好き・ホリエモンも東大を途中でやめてるし、スティーブジョブズやマークザッカーバーグも大学を中退してますよね。
他にも探せばそういう意識高い系が好きそうな偉人はたくさん出てくるでしょうが、彼等は世界人口70億人の頂点に立つクレイジー・ジーニアスであることを忘れてはいけません。
仮にあなたもそうであるならば、その根拠が自分の人生を賭けるに値するならば、今すぐに世界をより良い場所にすべくチャレンジして欲しいです。
そんな人間達がこんな便所の落書きを読むことはないハズですが、地球市民として応援しています。
2.周囲と比較して抜群に劣等な場合
もう、好き勝手やればいいんじゃないでしょうか。
既にボロボロな人に対して「目の前のことから逃げなければ、きっと幸せな人生が待ってるよ!」と言うのはあまりにも残酷過ぎるからです。
レールの先が不幸で満ち溢れているのであれば、レールを飛び降りてその先が秘密の楽園であることに期待する(いわゆるワンチャン)以外ないじゃないですか。
そういう社会をつくった大人達に、それを止める権利はないと思います。
ちなみに、外見に自信があるのであればアフィリエイトなんかチマチマやるよりもYouTuberとかの方がアツいんじゃないですかね。
あとは、なんでしょうか、宝くじは数学的に買わない方が良いですよ。
3.やりたいことが決まっている場合
もう、今すぐにそれをやった方がいいと思います。
学歴や職歴はリスクヘッジに過ぎないので、途中でやりたいことが見つかった場合は結局それをやるわけですから。
当然ですが、30歳とか40歳になった時に「あれ、ちょっと違ったな」って言うのはナシですよ。
後悔するのも自由なんですけど、もう絶対にちゃんとした会社に再就職とかできませんからね。
でも、既にやりたいことが決まっているわけですから心配する必要はないと思います。
やるなら全力で、なんか意味もなく借金とかしましょう。
最後に
誰にとっても人生は一度きりですから、思う存分に楽しんだ方がいいに決まっています。
しかし、人生は一度きりだからこそ、最低限のリスク管理は最重要科目でもあるわけです。
進学も就職も、ちょっと頑張ればそこそこの人生が高い確率で保証される〈労働市場がセーフティネットになる〉と思えば、とりあえずチケットは手に入れておいて損はないと思うのですが、いかがでしょうか。
オッサンだから保守的なんだ!と思われるかもしれませんが、私は大学生の頃から上記のように考えていましたよーだ。
ç(=ω=`) ヨボヨボ
今日は以上です。
コメント
こんにちは、トシカズと申します。
とても楽しく読ませて頂きました。
年下からの相談もかなり多いのではと思いました。
それだけ、目標にされているのですね。応援していきますね。
トシカズ さん
コメントありがとうございます!
楽しんで頂けたのであれば何よりです。
いえいえ、残念ながらそんなことは全くございません。。。