ドラえもんのひみつ道具の中で人生の教訓になっているものの1つは「デビルカード」です。
簡単に説明すると、「デビルカード」を1回振ると300円が出てきます。まるで打ち出の小槌みたいですが、その対価として1回振るごとに身長が1ミリ縮んでしまうのです。
無い袖は振れませんので、自分の身長を考えずに「デビルカード」を振りまくっていると最終的には消滅してしまいます。お金を返して身長を取り戻すことは決してできません。
ご多分に漏れず、「デビルカード」を手に入れたのび太は贅の限りを尽くして見る見るうちに縮んでいってしまいます。オチは省きますが、子供ながらに怖ろしい話だなと思いました。
先日、同世代の友人とお酒を飲んでいる時に似たような話になりました。どちらも30代の立派な大人です・・・。
「とあるボタンを押して寝るだけでX円もらえる。その代わり、目が覚めたらY年後になっている。何円で何年なら押す?」
ルールとして、Y年後まではひたすら眠っているだけです。SFに登場するコールドスリープではありませんので、目が覚めたら年齢相応に老化しています。
言い換えれば、自分の人生(時間)を主観的にプライシングするようなイメージです。
例えば、そのボタンを押して寝るだけで3億円もらえて、目が覚めたら1年後になっているとしましょう。3億円というのはサラリーマンの生涯賃金に匹敵します。破格の条件ですので、私なら押します。
5億円で10年後なら?経済的な観点だけであれば押した方がお得なのは間違いありませんが、10年というのは健康寿命の10~20%に相当します。躊躇しない方がおかしいです。
それでは、目が覚めたら30年後や50年後はどうでしょうか?恐らく、1兆円もらえたとしてもほとんどの人は押さないと思います。
極論を言うとお金というのは使うためにあるのですから、お金を使うための人生(時間)がなくなってしまっては本末転倒というものです。
日頃から、その友人は「もっと金が欲しい。世の中は金」みたいなことを言っていました。
そこで冗談で上記の質問をしてみたところ、「金額次第では1年後や2年後なら検討するけど、いくらもらえたとしても10年後なら絶対に押さない」と言うのです。
その友人とは珍しく話が合いました。私も目が覚めたら10年後なら金額に関わらず押しません。
私の10年間に大した経済的価値はありませんし、客観的に考えると、それに見合うだけの素晴らしい人生が待ち受けているわけでもないでしょう。
その後のパッとしない人生のことを考えたら押した方が良さそうなものですが、やっぱり押したくないものは押したくないのです。
単純に動物として「死」が近づくことを怖れているからなのかもしれません。なんにせよ、文字通り人生(時間)はかけがえのないものだということを本能的に理解しているのでしょう。
もちろん、価値観は人それぞれです。何円で何年なら押しますか?
P.S.
逆バージョン(?)似たような話(?)の「5億年ボタン」というCG漫画を思い出しました。自我とは。
今日は以上です。
コメント
ドラえもんの話でも、こうやって聞くと恐いなぁと思ってしまいました。
便利な道具でも、ちゃんと考えて使わないといけないっていう教訓みたいですね。
幸せになるためには、何か代償が必要なのかなぁとも思える内容ですね。
yuko さん
コメントありがとうございます!
幸せになるためには何か代償が必要、というのは言い得て妙かもしれませんね。
こんにちはです。
デビルカードのお話、子供ごころに怖いと思ったことを覚えています。
思えば、あの頃は大人になった今の自分の姿なんて想像すらできないながらも、将来のお金を今使おうなんてことも考える事もなく・・。まあ、子供のころは幸せだったんだなと無難な結論に至りました。ちなみに5億年の話しも怖いですね・・・。自分も押しちゃうかも。
きりたん さん
コメントありがとうございます!
どちらの話も思考実験としては面白いですよね。