私がサラリーマンだった頃、とても不思議だったことがあります。
当時の自分も含めて、若手と言われるような社員の多くは夢なり目標なりを持っており、文字通り生き生きとしていました。
私の希望はセミリタイアでしたが、人によっては出世だったり、人によっては起業だったり、それの実現に向けて努力もしていました。
勘違いだとしてもサラリーマン生活がそれなりに充実していたように感じられたのは、彼らとの切磋琢磨があったからこそでしょう。
一方で、同じ職場にいるにも関わらず中堅以上の社員(の多く)からは全くと言っていいほど生気が感じられなかったのです。
彼らは平均的に仕事をしない傾向があるため、ツケを回される若手社員は怒りすら覚えていました。
もちろん若手社員にもそういう人間は一定数いましたが、おじさんサラリーマンの目が死んでいる確率はその比ではありません。
最初は世代による価値観の違いなのかな?とも思いましたが、もちろん違います。
それは、“大切な何か”を諦めてしまった人間の悲しい末路でした。
今となっては謝りたいたい気持ちでいっぱいです。
おじさんサラリーマンが死んだ目をしている理由
にわかには信じられませんが、死んだ目をしているおじさんサラリーマンもかつては夢なり目標なりを持った若手社員でした。
しかし、時間の経過と共に、夢や目標という人生には欠かすことのできない希望を失ってしまったのだと思います。
動物は、長期に渡り回避困難なストレスを与えられるとその状況から逃れようとする努力すら行わなくなるそうです。
これは学習性無力感と呼ばれており、人間だけではなく犬や猫、鼠や魚も同じ反応を示すことが実験で観察されています。
学習性無力感の症状
私達のあらゆる行動は、意識・無意識に関わらず学習の成果として現れてくるものです。
例えば、人間が監禁されたり、暴力を振るわれたり、自分の尊厳や価値が踏み躙られる環境に置かれた場合、次のような徴候が現れます。
- 被験者は、その圧倒的に不愉快なストレスが加えられる状況から、自ら積極的に抜け出そうとする努力をしなくなる。
- 実際のところ、少しの努力をすればその状況から抜け出すのに成功する可能性があったとしても、努力すれば成功するかもしれないという事すら考えられなくなる(言い換えると、長年受けた仕打ちによる反動で、どんな可能性さえも「無駄な努力」と断じ、自発的行動を全くしなくなる)。
- ストレスが加えられる状況、又ストレッサーに対して何も出来ない、何も功を奏しない、苦痛、ストレス、ストレッサーから逃れられないという状況の中で、情緒的に混乱をきたす。
抵抗や回避の困難なストレスと抑圧の下に置かれると、その状況から「何をしても意味がない」ということを学習し、最終的には逃れようとする努力すら行わなくなるわけです。
もちろん会社には仕事のできる格好いい上司もいるわけですが、彼らと比較して出世できなかったおじさんサラリーマンの方が死んだ目をしている可能性が高いのはこのためでしょう。
そして、怖ろしいことに学習性無力感は第三者、または集団にも伝染することがわかっています。
君が死んだ目をしたおじさんサラリーマンになる前に
ストレスは老化や生活習慣病などの原因であり健康に悪影響を与えることは誰だって知っているでしょう。
しかし、長期に渡り回避困難なストレスを受け続けてしまうと、次第にそのストレスから逃れようとする努力すら行えなくなってしまうのです。
学習性無力感は日本の社会問題である(いわゆるブラック企業で)サラリーマンが低賃金で過酷な労働を強いられ続けているのにも関わらず、自主的に退職しようとしないことなどを説明する根拠としても注目されています。
若手サラリーマンの皆様におかれましては、職場で中堅以上の社員がどのような顔をしているか今一度確認されることをおすすめ致します。
君が死んだ目をしたおじさんサラリーマンになる前に。
最後に
このブログでは、たまに読者の方からメッセージを頂いたり実際にお会いすることもあります。
中にはセミリタイアに憧れているサラリーマンの方もいらっしゃったのですが、全員20代か30代と若い?方々でした。
もちろん私自身が20代・30代だったからというのもあるでしょうけど、もしかしたらそれだけではないかもしれませんね。
誰しもが平等に歳を重ねていくわけですが、せめて、いい老い方をしたいものです。
今日は以上です。
コメント
おはようございます。
悲しいですね・・死んだ目をして働く姿を観るのは。
でも組織の中で働くのは、なかなか自分の思い通りにはならなくて、
ストレスと諦めが溜まるのでしょうね。
自分はそうならない様、目標を持ち続けチャレンジ精神を忘れずいたいと思います。
時間に流され、周りに流されない様に。
tonton さん
コメントありがとうございます!
彼らがそこから抜け出そうとする努力すらできなくなってしまうメカニズムは筆舌に尽くしがたいものがあります。
仰る通り、「自分だけはそうならないように頑張る」しかないのですが・・・。