もくじ
先日、文芸美術国民健康保険組合の加入審査に通過しました。
念願だった文芸美術国民健康保険組合の審査に通りました。今年度から保険料が月額17,200円→19,600円と2,400円も上がっていますが、それでも国民健康保険料が上限額に達している場合は年間40万円くらい安くなります。法人化していない個人事業主の特権ですね。是非、ご検討下さい。
— のーまねー、のーふりーだむ 管理人 (@nmnfcom) 2017年7月1日
せっかくなので、記事にしておこうと思います。
文芸美術国民健康保険組合とは?
文芸美術国民健康保険組合は、文芸・美術及び著作活動に従事する個人事業主(フリーランス)を組合員とする国民健康保険組合です。
加入資格としては、上記のような活動に従事しつつ、詳細は後述しますが文芸美術国民健康保険組合加盟団体の会員である必要があります。
尚、事業を法人化している場合は健康保険が強制適用となっているため文芸美術国民健康保険には加入できません。
文芸美術国民健康保険と国民健康保険の違い
サラリーマンは勤め先が用意している何らかの健康保険に加入、個人事業主(フリーランス)は市区町村が運営する国民健康保険に加入するのが一般的です。
上記の保険料は収入や所得に応じて増えたり減ったりするため、税金と同じように低収入の人は負担が少なく、高収入の人は負担が大きくなります。
(上限額は決まっているので、“超”高収入の場合は所得に占める負担割合も低くなりますけどね。)
一方の文芸美術国民健康保険は所得に関わらず月々の保険料が定額という特徴があります。
文芸美術国民健康保険組合のメリット
私が感じた文芸美術国民健康保険組合のメリットについて説明します。
保険料が安い
なんといっても、前年の所得に関わらず月々の保険料が安い(定額)という点は魅力的でしょう。
平成29年度の保険料は下記表の通りです。
組合員 | 1人月額 |
---|---|
組合員 | 19,600円(※1) |
家族 | 10,300円(※2) |
介護保険料(※3) | 4,000円 |
※1・・・医療分16,000円、後期高齢者支援金分3,600円
※2・・・医療分6,700円、後期高齢者支援金分3,600円
※3・・・満40歳から64歳までの被保険者
私のように独身で40歳未満の場合、保険料は月額19,600円です。
これが高いの安いのかについては市区町村が運営する国民健康保険料と比較する必要があります。
例えば、東京都内で最も人口が多い世田谷区の場合、所得400万円で月額31,317円、所得600万円で月額44,317円、所得800万円になると月額54,167円(上限額)。
高所得の人については文芸美術国民健康保険組合の方が圧倒的に安いです。
健康診断や人間ドッグの補助金
健康第一の個人事業主(フリーランス)ですが、文芸美術国民健康保険の組合員になると健康診断や人間ドックを受ける際に補助金が出ます。
決して安くはない金額ですので、利用される方にとってはメリットになるでしょう。
文芸美術国民健康保険組合のデメリット
メリットがあればデメリットもあるのが世の常です。
国民健康保険の方がお得なケースもある
収入の変動が激しい個人事業主(フリーランス)の場合、時には想定していたよりも所得が低くなってしまうことだってあるかもしれません。
しかし、これは良くも悪くもですが、文芸美術国民健康保険組合の保険料は前年の所得に関わらず定額なのです。
結果的に市区町村が運営する国民健康保険のままにしていた方がお得だった・・・みたいな可能性もありえます。
運悪くそうなってしまった場合は潔く脱退しましょう。
値上げされることがある
定額とは言いつつも、今年度から保険料が月額17,200円→19,600円と2,400円も値上げされています。
これまでにも少しずつ値上げされているので、今後も未来永劫安いかどうかはわかりません。
加入審査が面倒臭い
審査が面倒臭い(誰でも加入できるわけではない)というのが率直な感想です。
少し詳しく見ていきましょう。
文芸美術国民健康保険組合の加入方法・加入審査について
大前提として、サラリーマンでも会社役員でもなく個人事業主(フリーランス)であり、国民健康保険の加入者であることが条件です。
独立して文芸美術国民健康保険組合に入る場合であれば、元・勤め先の健康保険を任意継続している状態でも大丈夫だと思います。
(ただ、任意継続をせず一時的に未加入になっている場合、一旦市区町村が運営する国民健康保険の加入者になる必要があるとのこと)
加盟団体の会員になる
文芸美術国民健康保険組合に加入するためには、まず加盟団体の会員にならないといけません。
加盟団体には以下のような組織があります。
(50音順)
- アンチモニー型工芸組合
- いけばな協会
- NHK専属作家協会
- 現代歌人協会
- 工芸美術家健保会 北村 眞一 様方
- ジャパン デザイン プロデューサーズ ユニオン
- 全日本書道連盟
- 全日本書文化振興連盟
- 著作家健保会
- デザイナ-健保会
- 東京イラストレーターズ・ソサエティ
- 東京グラフィックデザイナーズクラブ
- 東京コピーライターズクラブ
- 東京版下書道組合
- 東京模様糊画組合
- 日本アニメーション協会
- 日本アニメーター・演出協会
- 日本イラストレーション協会
- 日本インダストリアルデザイナー協会
- 日本インテリアコーディネーター協会
- 日本インテリアデザイナー協会
- 日本インテリアプランナー協会
- 日本映画監督協会
- 日本映画テレビプロデューサー協会
- 日本映画ペンクラブ
- 日本エッセイスト・クラブ
- 日本演劇協会
- 日本脚本家連盟
- (公社)日本グラフィックデザイナー協会
- 日本クラフトデザイン協会
- 日本広告写真家協会
- 日本サインデザイン協会
- 日本作曲家協議会
- 日本作詩家協会
- 日本作編曲家協会
- 日本児童出版美術家連盟
- 日本児童文学者協会
- 日本児童文芸家協会
- 日本シナリオ作家協会
- 日本写真家協会
- 日本写真作家協会
- 日本ジュエリーデザイナー協会
- 日本出版美術家連盟
- 日本推理作家協会
- 日本タイポグラフィ協会
- 日本彫型協会
- 日本空間デザイン協会
- 日本デザイン書道作家協会
- 日本デジタルライターズ協会
- 日本図書設計家協会
- 日本ネットクリエイター協会
- 日本パッケージデザイン協会
- 日本美術家連盟
- 日本文芸家協会
- 日本漫画家協会
- 日本モータースポーツ記者会
- 日本理科美術協会
- 日本レース写真家協会
- 俳人協会
- 美術評論家協会
- 美術評論家連盟
- VFX-JAPAN
- マンガジャパン
- ミュージック・ペンクラブ・ジャパン
私は日本イラストレーション協会(JILLA)という加盟団体の会員になりました。
理由は特にありませんが、私が入れそうな加盟団体の中では最も諸経費が安かったからです。
ちなみに、ライター(文筆業)やSEの方は日本イラストレーション協会(JILLA)には加入できないので、日本ネットクリエイター協会(JNCA)というところが良いかもしれません。
加盟団体 | 加入手数料 | 入会金 | 年会費 |
---|---|---|---|
JILLA | 3,000円 | 25,000円(※) | 24,000円 |
JNCA | – | 10,000円 | 24,000円 |
※・・・JILLAの入会金25,000円は退会時に返金されます
日本イラストレーション協会(JILLA)に入会するには
日本イラストレーション協会(JILLA)に加入するのは要件さえ満たしていれば難しくありません。
ホームページから加入申請をして、あとは必要書類(加入申請書、確定申告書B控のコピー、事業制作物のコピー等)を送ればOKです。
注意としては、確定申告書Bの職業欄に記載する職業名が「アフィリエイト」や「Web制作」では問答無用ではじかれてしまいます。
以下の通り、「JILLAに加入できる職業名」は明確に定められていて、「確定申告書Bの職業欄」もそうである必要があるわけです。
分類 | 加入が承認される職業名 |
---|---|
イラストレーター | イラストレーター/イラストレーション制作(業)/絵本作家/画家/美術家/建築パース(制作)/3DCG(制作)/キャラクターデザイン |
デザイナー | グラフィックデザイナー/グラフィックデザイン/デザイナー/デザイン(業) |
WEB 関連事業者 | WEB デザイナー/WEB デザイン/HP デザイン |
漫画家 | 漫画家/漫画制作(業)/漫画執筆(業) |
その他 | 編集(業)/編集者アニメーター/フォトレタッチャー/アートディレクター |
日本イラストレーション協会(JILLA)への加入が承認されたら、31,000円(出資金25,000円、加入手数料3,000円、文芸美術国民健康保険加入事務手数料3,000円)を指定の口座に振り込みます。
文芸美術国民健康保険組合に入会するには
後日、加盟団体から出資証券とともに文芸美術国保組合加入申込書類が送られてきました。
以下の書類を添付して送り返します。
- 加入申込書
- 預金口座振替依頼書
- 世帯全員の住民票
- 確定申告書B控のコピー
- 所得の内訳書の控え
- 事業制作物のコピー
日本イラストレーション協会(JILLA)加入の際にも送っている書類が多いため完全な二度手間ですが、とにかく送る必要があります。
私の場合、所得の内訳書が雑過ぎたため?代わりに別の資料(見積書 or 請求書 or 領収書)を求められました。
その後、メールや電話ですったもんだがありつつも、なんとか加入審査に通ったという流れです。
ちなみに保険証は加入月の前月末に届くのですが、それまでは加入審査に通ったかどうかわかりません。
最後に
サラリーマンは社会保険料が会社との折半ですが、個人事業主(フリーランス)は社会保険料が全額負担です。
しかし、私は収入が同程度のサラリーマンよりも社会保険料や税金の負担は少ないと思います。
保険料も含めて、節税という観点で言えば個人事業主(フリーランス)の方が圧倒的に有利なのです。
世の中には得する制度も損する制度もありますが、目の前に落ちているお金は躊躇せずに拾いましょう。
そうしなければ、この世界では奪い続けられるだけですから。
今日は以上です。
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